中央の柱

ケテル形成

実践法

1 呼吸法とリラックス法を行い、精神を静め、LBRPを行なう。部屋の中央に戻り、姿勢を正し静かに目を瞑る。

2 頭の上に直径15cmくらいの白く輝く光球を思い浮かべる。光球は最初は輝きが弱めだが、段々輝きを増していく。最初はこの輝きは頭の上を照らすくらいの輝きだと想う事。その放射している輝きは、とても優しい感じも持っている。また、この段階で感気の行なえる人は、手をその光球に触れようとすると軽い圧力やピリピリとした感じを感じ取る事も出来るであろう。

3 光球の輝きをよく感じたら、神名「エーヘーイーエー」を唱える。これを唱えるときは、ゆっくり深く腹に息を吸い込み、喉に負担をかける事無く、しかし、喉をゆっくりと震わせながら唱える事。「エーヘーイーエー」で一回息を吐いてしまうくらいのペースで唱えよう。そして、この声による振動が光球に吸い込まれる様を想像し、その振動によって、光がより輝きを増す事を想い浮かべる事。その光は、さらに強めようとすれば、体中を照らし、部屋中を照らし、家の周りを照らし、最終的には大宇宙を照らし出すとさえ感じるようにしても良いが、通常は部屋の中だけを照らすくらいの輝きで十分である。

4 この時注意する事は決して力まない事、焦らない事である。最初から強い輝きを感じられる人はきわめて希である。最初は何か輝きがあるかな〜?と言った程度で十分であろう。「強い輝き」と書いているからといってあまり力んで視覚化をすると、体の筋肉や内臓に緊張を生じ、心身に不調をきたしてしまう事もある。ゆっくり時間をかけて、学習していくべきであろう。これからの中央の柱の実践学習はだいたい、最低でも一週間で一つ光球を作るくらいの日数をかけて学習する事。納得が行かない場合は、自分が納得するまで幾らでも日数を費やして光球を形成していく事である。また、一週間たったからといって光球が完全に形成出来るわけではなく、あくまでも次の段階に進む目安であり、まともな光球が出来るようになるまでには長い練習が必要となる事を理解しておいてほしい。

5 この実践学習を終わるときは、ゆっくりと光球の輝きを少し弱めて、ゆっくりと立ち上がり、LBRPとカバラ十字を行い、日常の意識レベルに戻るようにする事。もし、通常の意識レベルに戻っても光球の輝きが気になるようであったら、ゆっくりと光球の輝きが弱まって行くのを何回も想う事。

参考事項

・これは、学徒のオーラ上に生命の樹でいう、ケテルのセフィラを象徴する光球を形成する学習である。

・こういった実践学習法を知った人の中には時々、実際に頭の上に光球が見えるようにならなければいけないと考えてしまう人がいるかもしれないが、この学習においては、そこまで要求される事は無い。自分で「在る」と思えるようになるだけで十分である。ただ、その場合でも自分で確かに、そこに光球が在ると思えるようになるくらいの練習は必要であろう。

・ヨガを知ってる学徒は、この光球形成とチャクラに関連性を見出すかもしれない。しかし、この段階の学習では生命の樹のセフィラとチャクラを混同することは避けるべきである。

・このケテルの光球には後に様々な象徴づけの学習をするが、元々、人間にとって心理的に「頭上の光」には「道を照らす灯明」あるいは「道を照らす光」という意味が潜んでいる。この実践学習を行なったからといって、生活が劇的に変化するというものではないが、このケテルの形成を行なった後からは、少しずつでも自分の身の回りの変化に、気をつけるように心がけてみてほしい。

・神名「AHIH(エーヘーイーエー)」とは、日本語で「我は在る」もしくは「我はありてあるものだろう」という意味である。

・神名を唱える音階は、エーはE、ヘーはC、イーはF、エーはCに対応しており、一語一語を、その音階で唱えるという方法もある。(chic ciceroの「The Middle Pillar」所収のThom Parrotの「The Musical Qabalah」より)。もし、どの様に神名を唱えたら良いか、よく分からないという方は、その方法で神名を唱えて見るのも良いだろう。ただ、これも絶対に、この音階で唱えなくてはいけないというわけでは無い。各自が各自のとなえやすい方法を見付けるようにする事。

ダート形成

実践法

1 この段階の学習は、前のケテル形成で、頭の上の光球の輝きが安定した状態になってから行なう事。まずは、ケテル形成を行っておく。輝きをよく感じること。

2 次に、ケテルの光球の輝きの中心から一筋の光が、体の中心に沿ってゆっくりと下降するのを想像すること。頭の中をゆっくりと通り、快い光の余韻を残しながら、光は首の喉仏の辺りへ達する。この際、緊張したり、無理に身体のどこかに力をこめたりして、光を下降させる事は避ける事である。ゆったりとした感じで光を下降させる事。

3 首の喉仏のあたりまで達した光は、いったんそこで留まり、光球を形成していく。光球が大きくなって行く間、頭上のケテルの光球はどんどん喉の光球へ光を与えるが、ケテル自体の輝きも全然変らないと想像する事。やがて、喉を中心に15cmくらいの光球を形成する。結果、頭と首、2つの光球が形成された事になるだろう。この喉の光球は生命の樹で言う、ダートのセフィラに対応する。

4 喉の辺りを中心に光が溢れ、上と下から顔が照らされるように感じる。喉の光球が安定したのを感じたら、神名「イェーホーヴァー エーローヒーム」を唱える。これもケテル形成と同様に、深く息を腹まで吸い込んで、その後にゆっくりと荘厳に唱えるようにする事。ただし、今回は「イェーホーヴァー」で一回吐ききって、その後もう一回息を吸い込んでから「エーローヒーム」を唱える事。

5 神名を唱える事により、ダートの輝きが増すのを想像する。喉にある光球なので、声の振動が光球に吸収されると想うのは、他のセフィラに比べれば容易であろう。ただ、喉の光球の場合は頭上の光球の輝きよりは、輝きをやや弱めに視覚化する事。

参考事項

・これは学徒のオーラ上に、生命の樹で言うダートに対応する光球を形成する実践学習法である。流派によっては、このダートを形成しない流派もあるので注意する事。

・ヨガをやってる学徒は、ケテルの項でも少し触れたが、このダートの光球形成を読んで、いよいよチャクラと結びつけて考える方もいるかもしれない。しかし、後の光球形成にも共通する事だが、ヨガにおけるチャクラは、チャクラがある特定の肉体の場所を中心に、気が広がるのにたいし、この生命の樹の行法の光球形成は15cmくらいに全体的に広がった球状のエネルギーを用いる。少し、専門用語を使った言い方で言うと、ヨガにおけるチャクラ開発はエーテル体からメンタル体まで広がっているのにたいし、生命の樹の行法はアストラル体からメンタル体までの間の力を扱うと考えられるだろう。ヨガと西洋秘教伝統の2つの関連性を研究するのは興味深い事であるし、西洋秘教伝統で有名なD・フォーチュンやA・クロウリーなども自分の体系にチャクラの考えを取り入れていたりもしたが、初歩の学徒は、少なくとも、どちらかの学習体系をある程度ちゃんと出来るようになるまでは、2つは違うものとしてとらえ、チャクラ開発と生命の樹の行法を混同して学習する事はさけるように。

・ダートの神名は「IHVH ALHIM」である。流派によっては「IHVH」をイェホヴァでは無く、生命の樹の行法でもヨドヘーヴァウヘーと読む事を推薦しているところがある。また、ケテルとダートは、同じ様に光球を形成しているのだが、この神名の違いによって、光球から受ける質・感覚が異なってくるのを感じるだろう。その違いをよく感じる事である。

・ケテルのページでも触れたように、このダートの神名にも音階がある。イェーがF、ホーがC、ヴァがC#、続くーがC。エーがE、ローがF#、ヒーがC、続くーがF、ムーがG#である。

ティファレト形成

実践法

1 ケテルとダートの光球の輝きを安定させておく事。

2 ダート、喉の光球の輝きの中心から一筋の光が体の中心に沿ってゆっくりと下降する事を想うこと。喉からゆっくりと胸を通って、みぞおちまで光を持っていく。途中の光の余韻を快く感じる事。

3 みぞおちのあたりまで達した光は、いったんそこで留まり、光球を
形成していく。光球が大きくなって行く間、喉の光球は、どんどんみぞおちの光球へ光を与えるが、ケテルと同じようにそれ自体の輝きは全然変わらない。やがて、みぞおちを中心に今度は直径20cmくらいの、やや大き目の光球が形成される。これは、生命の樹でいう「ティファレト」のセフィラに対応する。

4 みぞおちを中心に光球の輝きが安定したら、神名「イェーホーヴァー エーローアー ヴェ・ダースー」を唱える。「イェーホーヴァー」で、一回吐ききり、もう一度息を吸い込み「エーローアー」でもう一度吐ききり、もう一度息を吸い込み「ヴェ・ダースー」で終わるようにする。

5 神名を唱える事により、輝きが増すのを想像し感じること。また、輝きが増すと共に、みぞおちに温かい感覚やピリピリした感覚を感じられればより良いだろう。

参考事項

・生命の樹の図上にあるティファレトには、人体ではみぞおちの辺りが対応する。この辺りは人体の中でも、世界中の様々な秘教伝統で、特に霊的に重要な部分の一つとして知られている。太陽神経叢などにもかかるこの部位は、神秘行的には霊的身体へ力を供給する部位の一つとされているのだ。それゆえ、身体の力が充実している時は、この辺りが暖かく感じたりする。逆にいえば、この部位の光球をうまく活発化させれば、それが身体に霊的力を満たして行くのを感じる事も出来るであろう。

・また、この部位は霊的感受性が強い部位でもある。自分の肉体を包むオーラの卵に変調があった場合は、ここの部位に何らかの嫌な感じや、圧迫されるような感じが現われたりする事が多い。自分の霊的身体の変調を知る一つの目安としても、この部位の感覚は常日頃から大事にする事。

・神名の音階はイェーがF、ホーがC、ヴァがC#、続くーがC、エーがE、ロがF#、続くーがC#、アーがC、ヴェがC#、ダがF#、ースーがAである。

イェソド形成

実践法

1 ティファレトまでの形成を行なっておく事。

2 ティファレト、みぞおちの光球の輝きの中心から一筋の光が体の中心に沿ってゆっくりと下降するのを想う。みぞおちからゆっくりと腹を通って、性器と肛門の中心まで光を持っていく事。途中の光の余韻を快く感じよう。

3 性器のあたりまで達した光はいったんそこで留まり、光球を形成していく。光球が大きくなって行く間、みぞおちの光球は、どんどん性器の光球へ光を与えるが、今まで同様、それ自体の輝きは全く変らない。やがて、性器の辺りを中心に直径15cmくらいの光球が形成される。これは生命の樹の図上のイェソドのセフィラに対応する。

4 性器を中心にした光球が安定したら、神名「シャーダーイー エールー カーイー」を唱える。「シャーダーイー」で、一回吐ききり、もう一度息を吸い込み「エールー」でもう一度吐ききり、そして、もう一度息を吸い込み「カーイー」で終わる事。

参考事項

・イェソドは位置しているところが、性器にかかっているので、その光は、あまり強く輝かせるよりも、どちらかというと柔らかく、落ち着いた感じの光にした方が良いであろう。

・また、光球形成の際、この部位に身体的な力を入れて、あまり強く集中する事は避けるように。生命の樹の実践学習(ここでは中央の柱)の目的とするところとは、別の効果を招いてしまう可能性があるのだ。この部位に力を入れることは、性エネルギーを扱うことに繋がり、神秘行のより進んだ実践学習では重要な事になる。しかし、この段階の生命の樹の実践学習で求めるものでは無い。より進んだ段階になってから学習するべきことである。

・ある程度、中央の柱の形成に慣れると、ティファレトやイェソドの形成を行なっていると、下半身、特に丹田から性器の辺りを中心に、とても気持ちの良い感覚、あるいは充実した感覚が広がってくるのを感じる人もいるであろう。それは、心身に霊的エネルギーが充実してきた良い徴候だ。その気持ち良さを特別に応用する方法もあるのだが、この段階では、あまり深く考えずに、ただ、その感覚を楽しみ学習の励みにするだけに留めておく事。

・神名の音階はシャーがC、ダーがF#、イーがF、エーがE、ルーがF#、カーがE、イーがFで唱える事。

マルクト形成

実践法

1 イェソドまでの形成を行なっておく事。

2 イェソド、性器の周りの光球の輝きの中心から一筋の光が今度は体を離れて、真っ直ぐに下降するのを想おう。この際、本学習を立って行なっている学徒は、両足の間をぴったりつけた状態で、その内側を下降させる事になる。その為、光が降りていく感覚が足の内側で感じられるので、感覚が解りやすいと思われる。しかし、床に座って本学習を行うと、床の中に光が下降していく事になるので、最初は光の感覚が解りづらくなるかもしれない。この段階の学習は、最初は立って行った方が良いであろう。

3 足下のところまで光が下降したら、そこで留まり、今まで同様に光球を形成していくのを想うこと。光球が大きくなって行く間、イェソドの光球はどんどん足下の光球へ光を与えるが、それ自体の輝きは全然変わらない。やがて、足下を中心に直径15cmくらいの光球が形成される。

4 足下を中心にした光球が安定したら、神名「アードナイー ハ アーレーッツー」を唱える。「アードナイー」で、一回吐ききり、もう一度息を吸い込み「ハ アーレーッツー」でもう一回吐ききる事。

参考事項

・これは生命の樹の図上でいう、マルクトに対応する光球を形成する行法である。

・他の神秘行ではこの部位があまり重要視されないことが多い。そのため、西欧神秘伝統の中には、マルクトを肉体の肛門に位置させてしまう考えの流派もある。当サイトの考え方では、通常の立位では足下がマルクトを形成する場所であるという事。また、足下は人間が大地の地霊と接する重要なポイントであるという事から、一般的な中央の柱の行法と同様にマルクトの光球形成は足下に持ってきている。

・神名の音階は、アーがE、ドがF#、ナがG、イーがF、ハがC、アーがE、レーがD、ッツが1オクターブ下がったA#になる。
がF#、カーがE、イーがFで唱える事。

まとめ

ここまでで一通り中央の柱の形成が済んだ事になる。ここでは中央の柱の実践学習のまとめとして、幾つかの要点を述べておこう。これらを参考に、中央の柱の実践学習を、これからも出来るだけ高めて行けるように学徒は励むこと。


・まず、最初に一つ一つの光球を丁寧に輝かせながら、中央の柱の光球を全て輝かせる事を練習する事。その際は、体の中心を煌く光が溢れる事によって、心身の働きが活発になるのを、よく感じよう。また、光球の感覚だけで無く、ケテルからマルクトを貫く光の柱の感覚もよく感じる事である。

・一つ一つの光球の輝きは、とても強いものであるが、それは砂漠の太陽みたいに何かを焼き尽くす様な、強烈な輝きでは無く、強いながらも何かを育むような優しい光、と感じる事。

・この中央の柱を形成している時の、意識の状態をよく観察する事。呼吸法とリラックス法を確実に修得した上で、この中央の柱を実践すれば、学徒の意識には静謐さと、強い意志が沸き上がるのも感じられるであろう。

・これらの光球を形成した部位に、暖かな感覚や、何かが脈打つような感覚、そして「意識化」を行なっている学徒ならば、光球が形成されている部位に圧力やチクチクとした感じ、ピリピリととても弱い静電気の様な感覚を感じる事も出来るであろう。これらの感覚は霊的な意識の目覚めを示すのだ。これらは、とても重要な事なのであるのだが、かといって、あまり、これらの感覚にとらわれてしまう事が無いよう、ゆったりと余裕を持ってとらわれの無い意識を心がけるようにする事。この感覚を育んでいったとき、霊的な感覚がより鋭くなっているのを、学徒は理解できるであろう。


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