霊的存在について2 <IMN魔術基礎知識16>

「霊」とは

この世界には一般の人間の目には見えないし、その存在もなかなか理解することが出来ないが、様々な「意識」や「気」というものの力により構成された「霊」的な存在が満ちている。ここで「霊」という言葉を使ったが、学徒はそれについて、どういう考えを持たれただろうか?。

日本では世間一般的には、それらの存在は非科学的なものであり、存在するはずが無いという考えを持っている人が多い。また、そう思う学徒も多いだろう。しかし、とりあえず学徒の方はこの段階では、そういった先入観は脇に置いておいてほしい。

しかし、だからといって学徒の方は、何の疑いもなく、ここでこの話を信じるように筆者が言っているとも誤解しないでほしい。ここでは、本当か嘘かは分からないが、とりあえず、そういった話や考え方があるのだな、という感じで学徒の方に読み進めていってもらう事を筆者は希望している。こういった健全な懐疑的な態度はこれから西洋の神秘伝統や秘教探求学を学んで行く際に、とても重要である事を学徒はよく心がけておいてほしい。

以上、少し話が脱線しかけたが元にもどそう。ここで「霊」と呼んでいるのは物質という媒介を持たない、何らかのエネルギー体みたいなものを指すと思ってほしい。日本では古くからそれらを一般的に幽霊や、生き霊、精霊、妖怪、物の怪、神などと呼んできた。西洋の神秘伝統の解釈においては、こういった、日本で一般的に幽霊とか精霊、神といわれるものを元素霊、クリポト、天使や天使団、大天使や、悪魔などという呼び方を用いて説明している。

これらの言葉は、ある程度は学徒も聞き覚えのある言葉だと思う。「大天使」、「天使」及び「天使団」、「クリポト」「悪魔」などの用語については後々詳しく説明していくが、学徒は、ここでは、そういった存在をこのサイトで扱っていることを覚えておいてほしい。

西洋の神秘伝統では、それらの霊的存在を、ユダヤのカバラの四界論及び生命の樹の図を使って、区分し説明している。これは単純にして理解しやすい方法なので、当サイトの学習法でも、その生命の樹の図形を元に霊的存在を区分する方法を扱っていくことにしている。ここでは、その区分法について少し説明していこう。

カバラの四界論による説明

アッシャー界

カバラの四界論によって霊的なものを区別するにあたって、まず最初はアッシャー界に属すものから説明しよう。生命の樹の図でいえば、それはマルクトにあたるものである。これには、現実の物質やそれに近しい力を持つものが含まれる。我々人間や、動物、植物、金属、鉱石などの物質的なものとそれらを構成する、四大の元素、精霊、妖精などといった存在がこの段階に含まれる。

ここで、この世界の物質と、精霊みたいな霊的存在では、全然、状態が違うでは無いのか?と疑問に思う学徒もいるかもしれない。しかし、最近の物理学の説では、こういった古典的な物理学でいう固定された「物質」の考え方は誤っていたといわれはじめている。その説では、我々を構成している「物質」とは、不変で固定されたものでは無く、エネルギーの波が、古典的な物理学でいう固定し変化しない物質のように見えているだけという事になっているのだ。

イェツィラー界

次にイェツィラー界に属すものがある。生命の樹で言えば、イェソドから、ケセドまでが当たる。この世界にはヘルメス学でいう天使団や四大の王などがその存在を位置させている。

ブリアー界

次がブリアー界である。生命の樹でいえば、コクマー、ビナーが当たる。この世界には、ユダヤのカバラでは大天使がその存在を位置させている。他の神話体系でいえば、例えばエジプト神話では、オシリスやイシスなどの主要神、密教では菩薩などがその位置に存在するだろう。

アツィルト界

そして、アツィルト界に属するのがユダヤのカバラでいう、「神名」と呼ばれるものである。この神名という存在は、この文書をはじめて読む段階では聞いたことが無い学徒が多いと思うが、ここでは、この世の根源を為している力が、この世界に現れるときの様々な局面あるいは法則を現す名前だと思ってほしい。他の神話体系でいえば、例えば日本の密教では如来というものが挙げられると思う。

最後に

以上、様々な霊的存在について、その区分法と概略を示してきた。ここでは、あまり詳しくは説明しなかったが、後々、学徒はこういった存在と接し交流していくことになるので、ここで説明された事の概要をよく覚えておいてほしい。


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