四大の捉え方<IMN魔術基礎知識09>

物質世界の奥にある精妙な「もの」

人間はその古い歴史の始まりから、この世界がどの様にして成り立っているかを知りたいという知的欲求を、ほぼいつも育んできた。その知的欲求は近代において「科学」という方法を作り出し、この世界の様々な物体が分子、原子、そして電子等といったものから成り立っている事を発見するという目ざましい進歩を遂げた。

しかしまだ科学の発達してない時代において、そういった知的欲求を持つ人々の中でも、とりわけ、優れた感受性に恵まれた人々は、この物質世界がその目に見える物質だけでは無く、その奥にある目に見えない精妙な「もの(=波、振動、エネルギー)」から成り立っている事を感じ取って来たのである。

古代人の四元素

その精妙な「もの」は、西洋神秘伝統においてはその伝統的な背景から働きの性質を主に4つに分ける事にした。「地」「風」「水」「火」がそれであり、この考えは「古代人の四元素」あるいは単純に「四大」と呼ばれている。これらはしかし、この世界が完全にその単純な4つのものから成り立っているという事を言っているのでは無く、西洋の伝統的な考え方に影響された人間の心の奥底での世界を構成する物質の感じ方を言っているものなのである。

四大の精霊

これら四大には、また、それぞれ固有のキャラクターともいうべき精霊のイメージが割り当てられた。火には「サラマンダー」水には「ウンディーネ」風には「シルフ」そして地には「グノーム」と呼ばれるものがそれだ。

一般的に、「四大元素」という呼び名は、それらの物質的な局面を指し、「四大の精」は、根元的なエネルギーの局面を指す。そして「四大の精霊」が、「サラマンダー」などの精霊的な面を指すとされるが、これらはあまり厳密に区別されているわけでは無い。

こういったイメージを感じることができた古代の人々は、この物質世界のあらゆるところに、そのイメージに沿って四大元素のエネルギーを感じて生きてきた。それは、物質世界の背後に潜む、根源のエネルギーを感じていたのである。

しかし、これらのイメージは元々、西洋の伝統の影響を受けた人が、その伝統により作られた無意識のフィルターによりイメージを受け取ったものであり、その源となる根源的エネルギーは本来、姿を持たないものである。

そのため、西洋の伝統の影響を受けない民族、土地、時代であれば、これらの精妙な「もの」の捉えかたは当然異なるし、またもっと厳密に言えば、西洋の伝統の影響を受けていても、個人個人の心の構成は違うのであるから、その違いによって精妙な「もの」の捉え方も異なってくるといえるだろう。

例えば同じ「火の力」を感じても、それが、ある人にとってはサラマンダー(火蜥蜴)として認識されれば、違うある人にとっては炎の竜として認識されたり、光る球体や炎を纏った巨人、火天などとしても認識されるという違いがそこに生じてくるのである。

エネルギーの本質

四大を知るにあたって、大事なことはそれらのイメージの奥に潜むエネルギーの本質を知り、制御する事といえる。それこそが、「自分自身」を知ることにも、つながって行くであろう。


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