リラックス法1


人間は日常の生活で様々な筋肉を緊張させながら生活しています。特に現代人はOA機器等の影響で首や肩などを激しく緊張させており、ここから慢性的な肩凝りや、頭痛にまで発展している場合も多くみかけられます。また、緊張は表面的な筋肉の緊張だけでなく、ストレスなどにより胃などの内臓にまで及び、その影響により内臓が本来の能力を発揮せず、不健康な体になっている場合もあります。

人間にとって緊張・弛緩とは、生理的及び心理的な2つの側面があります。生理的な緊張としてよく思い浮かぶこととしては、筋肉の緊張が主なものとしてあげられます。運動において筋肉を使用する事から、日常において姿勢を保つための筋肉の緊張、業務を行うために発生する首や肩の緊張などでしょう。反対に、心理的な緊張には何かの事態に遭遇した場合に、それに対応するために行う心の緊張から、嬉しいこと悲しいこと怒りなどの感情による緊張、また人間関係や仕事における恒常的な心のストレスなどが挙げられます。

緊張という行為それ自体は、生命体の活動には必要不可欠なものであり、必要な時と場所で必要なだけ緊張するのは歓迎すべき事です。そうしないと、人間という生物はそういった事態に対処できません。しかし、それが必要以上に緊張したり、そういった事態が終って自宅に帰り、ゆったりとくつろぐべき時などの、必要無いときにまでも緊張が続いてしまうとなると、その緊張は生命体にとって有害なものにまでなります。

また、その逆に、適度にリラックスした心身というのは、東洋医学で言う気血の流れがスムーズになり、生命体である人間が潜在的に持っている自己治癒力や秘力の流れが、本来の力を取り戻します。神秘行では、この様に力の流れを妨げない良くリラックスした体が重要視されるのです。このページでは、そのリラックスを行うための練習法を書いていきます。

リラックス法の進め方

リラックス法の練習の進め方としては、まず基礎的練習1を行い、緊張と弛緩の感じをよく意識に記憶。その後、基礎的練習2を行い、手のひらで弛緩の感覚を記憶してください。これらは数回行えば、緊張と弛緩の感覚のコツがつかめると思います。次に、部分リラクセイション1及び2を行い、体の各部位の緊張を弛緩させていく事を練習します。これらを、毎日行ってください。寝る前の数息観を行う前に練習するように習慣づければ良いでしょう。

最初は、全身を行うのに結構、時間がかかったりすると思いますが、慣れれば、ものの数分もせずに全身を楽にリラックスを行えるようになると思います。その次は、この後のページで書いていきますが、システム・リラクセイションを行い、部分部分の弛緩から、体の各部位をシステムとしてとらえ、システムごとにより素早くリラックスしていく方法を学んで行くことになります。

リラックス法の段階的訓練

基礎的練習1 (緊張と弛緩を味わう)

1 まずは、拳を力いっぱい握って下さい。この時の腕や拳の筋肉の緊張をよく意識に記憶しておきます。

2 次に、拳の力をゆっくりゆるめます。この際の拳や、腕の力が抜けて行く感覚をしっかりと記憶してください。

-補足事項-

緊張の感じの方は比較的、楽に解りやすいものですが、実は弛緩の方はあまり容易とは言えません。ここで腕の筋肉を使って、よくその感じを味わってください。

基礎的練習2 (弛緩の触感的記憶と受動的・能動的弛緩)

1 基礎的練習1のように拳を力いっぱい握って、筋肉を緊張させてください。この時に、もう片一方の手を使い、指で腕の筋肉を触ります。

2 次に、拳の力をゆっくりゆるめます。この時に触っている指で、腕の筋肉が徐々に緊張をゆるめて行くのを感じてください。この際は緊張をやめたため、勝手に力が抜けて行く、という感じをよく記憶して下さい。

3 1〜2を繰り返し練習を行なったなら、次に2で勝手に力が抜けた後に、今度はさらに意識でより力が抜けて行くのを再現してみてください。上手く行けば、筋肉が弛緩した後でも、より弛緩する感じを得る事が出来るでしょう。

-補足事項-

基礎的練習1では筋肉が弛緩していく感じを掴んだと思います。ここでは更に、その次の段階として、筋肉が実際に弛緩し終わった後でも、自分の意識で弛緩の感覚を再現して、筋肉がまだ弛緩していくような感じを味わってみてください。

実は弛緩にも2種類のタイプがあり、ひとつは単純に筋肉の力を抜いて緊張が消えて行く感じ。そして、もう一つ、自分自身で筋肉に緊張を消して行くと言う感覚を出すものがあるのです。前者のほうは単純なものですが、後者の方は、自分自身の意識を以って行う能動的な弛緩であり、なかなか理解しづらいものなので、その感じをよく掴んでみてください。

部分リラクセイション1 (頭から首)

1 まず、これ以降のリラクセイションはそれを行う前に、背骨を曲げたり、筋を伸ばしたりなどの、簡単なストレッチをしておいてください。それらをしておかないと、不必要な凝りが残ったままリラックスを行う事になり効果があがらないという事態が起きることがあります。ストレッチの方法はネットで検索をかけて調べてみてください。

2 床に大の字になって寝ます。なるべく全身の力を抜き体がゆったりするのを感じてください。背筋はまっすぐにしておくこと。また、顔は天井を向くようにしておいてください。

3 1から2が終わったら、リラクセイションの始まりです。まず、額の皮膚に手をあてて、額の皮膚を緊張させてください。皮膚の緊張をよく手と意識で感じてください。

4 次に額の皮膚を弛緩させます。基礎的練習2で感じたような弛緩の感じをよく再現してください。弛緩が成功すると、人によっては違うかもしれませんが、皮膚にふわっとしたような感じがするでしょう。

5 同じような要領で、瞼、頬、唇、顎、後頭部、首、首の後ろ、と弛緩させていきます。首まで一通り終わったら、改めて今まで弛緩させたところのリラックス感を感じます。しっかりと弛緩できていれば、とても気持ち良い流れみたいなものを頭から首にかけて感じるでしょう。顔の部分がしっかりとリラックスできたら、口がダラーンとしたいわゆる寝ているときのような、だらしない顔の状態になると思います。

-補足事項-

顔の弛緩の場合は、完全に弛緩し終わると、口が開けっぱなしになって、あまり人にみせられない状態になります。弛緩をしている部屋には他の人を入れない方が無難でしょう。

部分リラクセイション2 (全身)

1 次に、部分リラクセイション1と、同じような要領で全身にかけて弛緩させていきます。

2 右肩、右上腕部、右肘、右下腕部、右掌、右指、左肩、左上腕部、左肘、左下腕部、左掌、左指、胸、腹、背中、腰、右尻、右股、右膝、右足首、右足裏、右足指、左尻、左股、左膝、左足首、左足裏、左足指、といった要領で、全身の筋肉を弛緩させていきます。

3 この場合、寝たままでは手の届かないところが出てくるので、最初は、上体をあげて、それで手を当てて、まずはその部位の緊張と弛緩をよく味わうようにして下さい。コツが解ったら、今度は手をあてずに、寝た状態で各部位をリラックスさせていきます。

-補足事項-

いっぺん、弛緩させた部位でも、後の弛緩をやっていると勝手に緊張が戻っている場合があります。この場合は、焦らず気長に、もう一回その部位の緊張を解き、弛緩させていってください。完全に弛緩しておわった場合、体がとてもぐったりと感じたりしますが、悪い感じでは無く、とても落ち着いた感じになると思います。

また、一通り終わったら、体の各部位を改めて、感じる様にしてください。まだ、不快感や変な凝りの残っているところがあったら、再び、その部位にリラックス法を行います。これらの練習を行っていると、普段の生活で、緊張している筋肉が痛く感じてきたりするときがあります。

これは、今までは気づかなかった繊細な体の情報がこのリラックス法により、顕在意識により敏感に感じられるようになってきた事によります。もちろん、これは悪い事では無く、今まで気づかなかった、悪いところが解ってきたと言う事ですから、その時はリラックス法で、その筋肉の緊張を解消してやってください。


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