仙道修行記-腕に気を巡らす1

次は、腕に気を巡らす修行の体験を記していきましょう。

感気の状態

ここまで来る段階で、私は手の感気の強化をかなりやっていました。ちょうどその時分はまだ学生だったということもあって、暇な時間もたっぷりありましたし、授業の最中でさえも机で隠れてよく捏球をやったりしていたのです。

そのため、この段階までには、手に感じる気の感覚は捏球や振掌などの動作を始めてから2・3分もすると、かなり濃い気の感覚を得れるようになっていました。それは、手のまわりに薄い水飴みたいなのがまとわりつつ、手、全体がピリピリとした弱い静電気みたいな感じを帯び、また、手をすっぽりと濃い空気の固まりみたいなのが、覆っているというような状態でした。

気を一点に集中して動かす

そして、腕に気を巡らす修行に入ります。本にはまず、手の全体に気が感じるのでは意識で気を動かしにくいので、手のひらの中央の一点に気を集中しろと書いてあります。その通りに、初めに左手のひらの中央の1点をじぃっとみつめ、意識をかけました。

すると、最初はわずかですが、そこに気のピリピリとした感覚が集中して起こってきます。呼吸法と一緒にしばらくやっていると、かなりその感覚もはっきりしてくるのです。

本には次に、意識でその集中した気を動かせと書いてあります。そこで、その通りにやろうとしてみたのですが、最初から意識だけで動かそうとすると、これがなかなか動いてくれません。

なかなか動かないので、段々焦ります。ですが、焦れば焦るほど、はまるのが常。結局、その時は意識で気を1点に集中することまでは出来るのですが、それを動かすことは出来なかったのでした。

指で調子を取って気を動かす

そこで、気を取り直して、また何か参考になるような事は書いてないかいな?と本をいろいろ読み直してみます。すると、その中に「指で調子をとりつつ・・」という箇所を見つけたのです。これは、この訓練に使えるのでは無いか?と思い、その方法を使って再度挑戦してみました。

再び、同じように左の手のひらの1点に集中し気を強め、それから、その集中したところに、右手の人差し指をあてます。そこからゆっくりと、ずずぅっと、人差し指を手首の方まで動かし、それと一緒に左手の気の感じも動くように意識してみました。

これが結構、成功したのでした。たしかに、ピリピリとした感覚が右人差し指につられて、左手のひらの上を動いていくのです。そこで、次は右人差し指を手のひらに直接つけず、1・2cm離して同じ事を行います。これも確かに左手のひらに、気が移動する感覚を感じます。

それならばと、今度は右手の人差し指を左手のひらの中央に、右手親指を左手の手首に置き、その右手の2つの指を直線上に結んだ、左手のひらの上を、気の感覚を強め、何回も意識でなぞっていきます。

これを何十回も繰り返すと、かなり気の移動する感じがつかめたのです。その時点での気の移動する感じは、何かとても小さい蟻みたいなのが左手の平を這っているような感じで、結構弱々しい物ではありました。でも、私はとりあえずそれで満足し、次に左手首から左肘へと、気を動かす修行に移ることにしたのです。


次へ
カテゴリTOPに戻る