西洋神秘伝統の3つの秘儀体系(占星術、錬金術、カバラ)

西洋神秘伝統は、その内に3つの大きな秘儀体系を持っている。それが「占星術」「錬金術」「カバラ」である。この3つについては、西洋神秘伝統を理解するのに重要なものなので、ここでは簡単な説明を行っておこう。

占星術

まず、「占星術」は、その始まりは紀元前2・3千年くらいの古代バビロニアに遡るとされる。天空の星の動きを元に、様々な地上の出来事を前もって知ろうという考えから生まれたものであった。やがて、古代ギリシャに伝わり、個人の生まれた日時の星の位置から作られるホロスコープを元にした占いへと発展していく。西洋の神秘伝統では、この占星術で使われる数々の象徴、記号、考え方などがその学習の基盤となっている。

錬金術

「錬金術」は、その発祥は様々な伝説があるが、現実的には古代エジプト文明で生まれた金属を加工する治金術から発展してきたものだったとされている。一般的には、鉛などのありふれた金属を、価値の高い金へと変えようという、欲望にまみれた不可能な技術であったとされる。しかし、現代まで伝わる錬金術に関する記録などを見ると、そこには物質的なものにとどまらず、霊的な自己までもを「金」に象徴される状態に高めようとする高貴な霊的作業を目的とした、秘儀体系として書かれている事も多いのだ。

カバラ

「カバラ」は、その発祥は元々はユダヤ教における聖書の神秘的解釈学であったとされる。ユダヤ教徒は、その聖典「旧約聖書」には、主がこの世界の創世に関わる様々な霊的秘密を隠していると考えた。その秘密を解き明かそうと、文字と数の関連性を元にした霊的な実践体系が発展したのが、カバラであったとされる。しかし、ルネサンスの時代の知識人達は、そのカバラの考え方にユダヤ教の枠組みを越えた価値を見いだした。そして、ユダヤ教の信仰を必要としない非ユダヤ教カバラ(クリスチャン・カバラ、ヘルメティック・カバラ、オカルト・カバラ、魔術カバラなどと呼ばれる)へと変化・発展させたのだった。この非ユダヤ教カバラが、現在の西洋神秘伝統の3つの秘儀体系の一つになっている。


次へ
上位ページに戻る