「魔術」について2

「魔術」を「芸術」に例えた解説

先のページでも触れたが、現在、「魔術」という言葉には様々な事柄やイメージが含まれるようになっている。こういった一つの「言葉」が、様々な事柄や分野を含むといった事を身近なもので理解しようとする場合、例えば「芸術」という言葉を挙げることが出来るだろう。

現在、「芸術」と一口に言っても、その中には”絵画”もあれば”音楽”、”彫刻”や”陶芸”など、様々な分野がある事は一般的にもよく知られていると思う。しかし、もしかするとその辺をあまり理解していない人が、例えば、”絵画”を学びたいと思っていたところ、近くで”芸術セミナー”が開催されるというので行ってみたら、実は”音楽”のセミナーだったという事もありうるかも知れない。

「魔術」も実は「芸術」と同様に、その中には様々な分野や考え方、方法などがあるものなのだ。その為、上記で挙げた「芸術」の例と似たような間違いが、魔術に興味を持ったばかりの人達の間でも起こっている。

例えば、魔術というものをゲームなどの影響で「手から炎や氷などを出して敵を攻撃するもの」と思い込んでしまった人が、近くで「魔術セミナー」が開かれると聞いて喜んで行ってみたら、実は古代から伝わる霊的哲学体系である「カバラ魔術」というもののセミナーであり、哲学的な話しか聞けなかったという事も起こりうる。

実際、当サイト作者も昔、ある方が「魔術」に関するセミナーを開いたときに、そのセミナーの最中に聴講者が、そのセミナーで扱う魔術は自分の考えている魔術と違うと揉めだしたという事があった、という話を聞いたことがあるのだ。

こういったトラブルを起こさないためにも、上に書いたように、現在の「魔術」という単語には様々な分野や事柄のものが含まれてしまっており、実際には、そのどれもが「魔術」と言えるものであることを理解し、そこから、実際に自分が求める「魔術」とはどういうものなのか?を学徒にはよく考えておくようにしておいてほしいのだ。

同じ分野内での違い

また、更に言えば同じ分野と考えられるものを研究する人たちの間でも、すれ違いは幾らでもあり得ると言えるだろう。例えば、当サイト作者も実際に聞いたことのある話だが「芸術」の”音楽”という分野を好む人たちの間でも、ある人はクラシックを好む為、楽器から出る音で作る音楽こそが<高級>であり、最近の電子音楽は<低級>だと考えている人もいるという。しかし、当サイト作者からすれば、こういった事柄はどちらかが<高級>だとか<低級>だと考えるものでは無く、それぞれにそれぞれの良さがあると思うのだ。

「魔術」においても同様である。「魔術」を調べてみれば解るが、「魔術」にも様々な考え方や捉え方がある。それぞれの人が「魔術」について、こう思うとするのであれば、それはその人にとっての「魔術」とは、そういうものなのである。それを他人が批判したり、それは偽物だとか、紛い物だと貶めたりするべきでは無いものだろう。ただ、一つだけ例外があるとすれば、それは他人に迷惑をかけたり、社会的・道義的に問題のある事をしている人がいた場合である。その場合にはもちろん、然るべき機関への通報などの対処が必要になるであろう。

以上、現在、「魔術」という言葉が特に誤解を生じやすいものになっている為、少し長めに、この言葉に関する注意をしておいた。ここまでを読んで、学徒には単純に「魔術」という言葉でも、様々な事柄や分野が含まれる事を理解していただけただろうか?。次ページからは、この「魔術」という言葉に含まれる事柄、分野などを俯瞰的に理解し、その中でIMNの扱う「魔術」がどういった位置づけになるかを理解してもらうために、様々な形で「魔術」の分類を行ってみよう。


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