能動瞑想<IMN的魔術実践基本学習>

能動瞑想とは

能動瞑想とは、ある一つの対象物を元に、思考を連鎖・発展させていく瞑想法である。西欧神秘伝統の実践学習では、この能動瞑想は、ある特定の象徴を心に根づかせ、その深い意味を探る効果的な方法としてしられる。また、この能動瞑想は普段から忙しく心の中で様々なことを考えている現代人にとっては、取り掛かりやすい瞑想法として用いることができるだろう。

瞑想について

ここで瞑想というものをはじめて経験する学徒もいるかも知れないので、少し瞑想法について説明しておこう。瞑想というと、一般的にはあぐらをかいて座り、字にあるとおり、眼を瞑って意識をなくし無念夢想に入るような辛気臭いイメージがつきまとうものである。しかし、本当の瞑想とは、ただ無念夢想になるようなものでは無く、「自分自身の意識を制御」する事が目的なのだ。だから、瞑想法の種類によっては、スポーツをしながらでも、読書をしながらでも出来る瞑想というものがある。学徒は固定観念にとらわれずに瞑想法というものの本当のあり方を知り、学習していってほしい。

また、この能動瞑想は、この段階で学習を済まして終わりといった性質のものではない。これから先の実践学習では多くの象徴を学び扱う事となるが、新しい象徴が出てくるたびに学徒は、その象徴の意味を、この能動瞑想あるいは次に紹介する受動瞑想によって、「自分自身にとっての意味」を探り、意識に根付かせていくことが必要となるのだ。

能動瞑想の実践

この瞑想を行う際には、まず、瞑想の対象となる、主題を選ぶことから始める。主題が決まったら、一人きりで静かに集中できる環境を用意すること。神の座位か、普通に座るのか、どちらか自分の好きな姿勢を選んで姿勢を正す。そして、四拍呼吸やリラックス法などを用いて、意識を静め身体を安楽にしよう。特に最初の頃は、首や肩が凝ったまま瞑想に入りやすいが、能動瞑想は言語思考を特に使うため、首や肩が凝ったまま瞑想を行なうと、途中で凝りが激しくなって、瞑想に支障をきたす事がある。リラックス法はしっかりと行なっておく事。

意識がゆったりとしてきたら、次に自分の主題となるものを思い浮かべる。たとえば、ここでは身近なもので「リンゴ」を例にとってみよう。そして、その主題について、いろいろと考えていってみよう。たとえば、下のような感じである。

「リンゴ。リンゴは甘い。甘くて自分は好きな果物の一つだ。栄養も豊富らしいし。そいえば、リンゴといえば、どこかのパソコンのシンボルにも使われていたなぁ。しかし、リンゴといえばやはり、エデンの園の禁断の実か?。そういえば、なぜ、リンゴが人間を堕落させるのだろう?。その甘さからの連想か?。いや・・」

といった感じに、その主題に関わることを軸に思考を連鎖・発展させていくこと。ただし、こういった連鎖思考は終わりを決めないといつまでも、続けていくことになってしまう。そのため、瞑想を始める目的によって、最初にその瞑想法の終わり方を決める。例えば、主題を瞑想することによって秘儀的な知識などを得たいという場合は、ある程度、自分の意識に納得いくような「閃き」や「気づき」を得られる事が出来たら、そこで終わらせる。

こういった感覚は文章では伝えづらいものだが、瞑想を何回もやっていけば、それがどういった感覚なのかが突然ピンというような感じで解ることが起こると思う。また、違う個所で紹介する事になる実践学習法である「意識化」というものが出来ている人ならば、自分を構成している気や精妙な流体の「場」が、その「気づき」によって変化するのも感じる事が出来ると思う。

別の終わり方を決める方法として、主題を心に根づかせたいという場合は、まず最初に何分するかを決めておいて、その時間が来たら、そこですっぱりやめるようにしておくという方法もある。この場合、最初慣れない間は短くても良いが、慣れてきたら、一回につき少なくとも15分くらいは思考を行うこと。2・3分くらいの瞑想で主題の意味を探ることは出来ないと思って良い。

実践学習のアドバイス

この実践学習を行うに当たって幾つか、助言をしておく。まず、先にも述べたが体のリラックスはしっかり行っておくこと。首や肩に限らず、身体のいずれかの部位が緊張したり、変な状態のまま瞑想を行なっていくと、瞑想を続けている際にその部位の緊張が激しくなったり不快感が発生したりして、瞑想の邪魔になることが多い。とにかく、体に無意味な負担がかからないような姿勢にすること。しかし、身体に負担がかからないからといって仰臥の姿勢で行うと、こういった瞑想の場合、途中で寝てしまう事が多いので、それは避けること。

この瞑想法は途中でよく最初に選んだ主題と全然違う方向へと思考が発展していきそうになるが、あくまでも、この瞑想法では、最初に選んだ主題に関連する事を思考していくこと。また、瞑想を行っていく際に発生する痒みなどにたいしては、掻いても良いが、その痒みで集中していた思考の意識が中断されないように意識を持続させておくこと。

人によっては、何か物事を考え込む際に身体のどこかを無意識のうちに極度に緊張させていくこともある。実践学習を進めていけば、そういった無意識の緊張にも気づき、取り除けるようになるが、最初のうちは瞑想を続けていって身体に疲れや強い不快感が発生してきたら、そこで瞑想を中断して、四拍呼吸やリラックス法を再度行って身体の不快感を取り除いておくこと。人間にとって、言語による連鎖思考はかなりの力を使うものである。それにプラスして、身体のどこかを無意味に緊張させておくと、長く続けることが出来ないばかりか、身体に悪影響を与えることがある。

以上、能動瞑想について説明してきたが、おおよその方法が解ったならば、まずこの段階では自分なりに何かの主題を見つけ、それについて能動瞑想を行ない、自分なりの瞑想を行なう感覚を掴んでおいてほしい。やがて、後の段階の学習で扱う象徴などについて瞑想を行なうようにしていってもらう事になる


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