タロット・カードについて

タロット・カード(Tarot Card)。現在、この神秘的なカードのセットは占いに用いられるものとして、一般的にもよく知られるようになっている。しかし、西欧の秘教伝統では、このタロットは深遠なる秘儀を「絵」で語るものとして、とても重要視されるものなのだ。当教育コースでも、後にこのタロットについて様々な学習を行っていくことになる。ここでは、初学者のために、そのタロットについて簡単に解説しておこう。

タロットカードの構成

現在、タロットと名の付くカードは様々な種類のものがあるが、基本的にはタロット・カードとは22枚の絵札と、棒、杯、剣、金貨の4種類からなる40枚の1から10の数札、同じ4種類からなる16枚の王宮札と呼ばれるカードから構成されているカードのセットを指す。このうち、22枚の絵札は大アルカナ(アルカナとは「神秘」という意味とされる)と呼ばれ、40枚の数札と16枚の王宮札はまとめて小アルカナと呼ばれる。

22枚の絵札は特に神秘的な絵柄のカードとして知られ、それぞれ番号と題がつけられている。その題は一般的に1から順番に「魔術師」「女教皇」「女帝」「皇帝」「法王」「恋人」「戦車」「正義」「隠者」「運命の輪」「力」「吊られた男」「死神」「節制」「悪魔」「塔」「星」「月」「太陽」「審判」「世界」。そして、特別に0番(番号がふられていない場合もある)の札を「愚者」と呼ぶ。小アルカナは大きく分けて「棒」「杯」「剣」「金貨」の4種類があり、そのそれぞれに1から10の数札、王女、王子、女王、王の王宮カードがある。王女、王子はそれぞれ従者、騎士とされる事もある。以上により、この小アルカナは計56枚になる。

タロットカードの発祥

タロットの発祥については、いまだ確実視される説は無い。秘教的な伝説では、タロットのルーツは古代に消え去った超文明アトランティスの秘儀であるという話もある。この知識はアトランティス文明が滅んでも残り、やがて古代エジプト文明に伝わる事になる。古代エジプトの神殿には22枚の霊的秘儀を示す巨大な象徴的絵画が飾られ、神官達に深遠なる叡智を与え、古代エジプト文明の繁栄の礎になったとされるのだ。この絵画が現在のタロットの元となったという。もちろん、これらの話は伝説に過ぎないものだろうが、タロットの神秘性についての良い寓話となるであろう。

現実的に辿れる一番古いタロットの記録については15世紀半ばくらいからになる。15世紀半ばの北イタリアの貴族エステ家の帳簿には、タロットのルーツと見られる「トリオンフィのカードセット」を購入したとの記録が残っているとの事である。また、現存する最古クラスのタロットカードとしては「ヴィスコンティ・スフォルツァ版」と呼ばれる15世紀後半頃のセット数種類が断片的ながら見つかっている。このカードセットは構成的には今のタロットに近いながらも、悪魔や塔が無かったり、今のタロットには無い札があるなど、細かいところで相違が見られる。また、この頃のタロットは画家が手書きで作ったものであり、まだあまり一般には流通していなかったと考えられている。

このタロットが一般にも多く出回るようになったのは、木版の印刷術が普及し大量印刷が可能になった16世紀頃からである。その後、17世紀頃にタロットの大きな生産地となっていたフランスのマルセイユの名前を冠した「マルセイユ・タロット」という種類のカードが広く知られるようになる。このマルセイユ・カードの時点で、現在のタロットの22枚の大アルカナと56枚の小アルカナの基本的な構成がほぼ確定されたと考えられている。

タロットは、発祥後しばらくは主には遊戯用の札として使われていたと見られている。時には占いに用いていた事もあったみたいだが、ごく少数に留まっていたとの見方が主流である。しかし、その状況を大きく変える人物達が18世紀末のフランスに現れる。まずクール・ド・ジェブランという人物が、タロットとは古代エジプトを起源とする神秘知識を絵として説明するものであるという理論を発表。その流れを受けて、占い師エッテイラが占星術などと絡めて構成を独自に改変したタロットを作成し販売。これらの神秘的な説や用い方が人気を博し、タロットとは占いに用いるものとの解釈が定着する事となる。

秘教的タロットカード

その後、19世紀半ばのエリファス・レヴィという人物がタロットの大アルカナの22枚という数は、ヘブライ語の22文字に対応し、ユダヤ教のカバラの秘儀に通ずるものであるとの説を提唱。その説を受け継ぎ、さらに研究発展させたのが19世紀末にイギリスに生まれた「黄金の夜明け」団(以後、GD団と記す)である。現在でもタロット界で名高い「ライダー版タロット」を生み出したアーサー・エドワード・ウェイトや、「トート・タロット」を生み出したアレイスター・クロウリーは、このGD団に所属し、その教義を元にタロットを作成したのだ。

時代を経て、タロットはその神秘的な絵柄が多くの芸術家や作家を魅了し、近代、爆発的な人気となる。現在、タロットは人によって様々なデザインのカード・セット(一纏まりのカード・セットの事をデッキとも呼ぶ)が作成され、まさに百花繚乱の如き様相を呈しているといえるだろう。ただ、そういった多数の種類があるタロットの中でも、当教育コースでは、GD団の教義の流れを組むデッキを学習の中心的対象として使うので学徒は認識しておいてほしい。

GD団の教義を元に作られたデッキでさえも、今では色々な種類が作成・販売されている。下記にその代表的なものを挙げておこう。

「ライダー版タロット」(A・E・ウェイト作成)
「トート・タロット」(A・クロウリー作成)
「黄金の夜明け団タロット」(ロバート・ウォン作成)
「黄金の夜明け魔術タロット」(キケロ夫妻作成)
「ヘルメティック・タロット」
「BOTAタロット」
「SOLタロット」(D・A・ノーウィッキ監修)

これらのデッキは基本的にGD団の教義を元に作られているのだが、統合神秘行的に見た場合、どのデッキも一長一短ある。代表的なライダー版とトート・タロットを例に挙げてみると、ライダー版は絵柄は親しみやすく、世界でも多くの人に使われているデッキであるが、GD団の教義から色々と改変されているところがある。力と正義のカードの順番が入れ替わってしまっていたり、小アルカナが絵札になっている。トート版は有名な魔術師クロウリーによって作成されたデッキである。特にGD的魔術の理論や象徴的に興味深いものであるが、絵柄に強いクセがあり、初心者的には怖いと思ってしまう方もいるかもしれないので、あまり最初はお勧め出来ない。

タロットカードの購入に関して

それぞれの長所短所を踏まえた上で、当教育コースでは最初は上記のライダー版タロットと呼ばれるデッキを用いて学習を進めていく事になるので学徒はその旨、認識しておいてほしい。その為、学徒にはまずここで、ライダー版タロットを購入しておく事を指示しておこう。また、だいぶ先になるが、後にはクロウリーのトート・カードも購入してもらう事になるだろう。

購入に関しては、学徒にとってネット通販が可能な状況にあれば、アマゾンなどのネット書店で購入するのが手軽な方法であろう。また、最近は基本的に大きな書店に行けば、様々なタロットのデッキが売られている事も多い。その為、実際に書店へ行って買う事も選択肢の一つとして有るだろう。また、ライダー版を購入しようとしたら、カードのサイズにも色々ある事が解るだろう。その為、レギュラーサイズやミニサイズのどれを選ぶかに迷うかもしれないが、ここではレギュラーサイズを買うように指示しておこう(もし、予算に余裕があればレギュラーとミニと両方買っておくほうが望ましい)。購入したタロットは当教育コースで、後々以下の作業に用いることになる。

・占術
・瞑想の対象
・実践学習(魔術)

上でレギュラーサイズを買うように指示した理由としては、この後カードを占術専用で使うならば、ミニサイズのものでも良いと思うが、当教育コースでは瞑想の対象としたり実践学習(魔術作業)にも使う事になるため、ある程度の大きさがあった方が使いやすい事が挙げられる。また、人によっては占術と魔術用のカードを一緒にしたくないという事も起こりうる。その場合は、カードをスキャニングして、プリンタで大きくしたりして印刷して使うことになる。その際スキャニングしやすくする為にも、カードは基本的なサイズのものを購入しておいた方が良いであろう。また、カードは(特に占術に)頻繁に使っていると傷んでくるため、何回か買い換える事も想定しておいた方が良いだろう。


□関連サイト紹介

タロットに関しては現在、検索すればネット上で色々と良質の紹介・研究サイトを見つけることができる。ここでは、タロットに関する日本語のサイトで下記を推薦しておこう

・RAVEN氏の烏屋本舗(http://karasuya.fool.jp/)。特にタロット部屋→RAVEN流タロット→【タロットについて】の基礎知識から三大メジャーまでは、当STEPと関わりの深い内容なのでよく読んでおく事。


□学徒は下記を理解・記憶すること。

・タロットの構成(22枚の大アルカナと56枚の小アルカナ)を理解する事。
・大アルカナの22枚のタイトルを覚えること
・ライダー版タロットを購入しておくこと。


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