ヘブライ文字について
キリスト教においては長らく、新約聖書がその教義の中心として扱われていた。しかし、その宗教観に限界を感じたルネサンスの知識人達は、キリスト教の枠を越えて神の秘密を探求しようと考える。そして、旧約聖書に神が人間を創りたもうてからの秘教の伝統を見出だすようになったのだ。
完全言語
旧約聖書においては、人間は源初のとき神に作られ、エデンの園に住んでいたとしている。秘教の伝統では、その時、人間は神が使っていた言語である「完全言語」、あるいは神が天使に教えた言語である「天使語」と呼ばれる言語を使っていたとしているのだ(これらは別名、楽園の言語とも呼ばれる)。しかし、エデン追放と共に人間からその楽園の言語は失われた。その後、人間達は失われた言語を元に考え出した「源ヘブライ語」と呼ばれる秘密の言語を使うようになったとする。しかし、この言語でさえも、バベルの塔の出来事によって失われ、世界各国の人間達が使う言語はバラバラになってしまったのだ。(西欧神秘伝統の流派によっては、この辺の考え方は多少違ったりしている事もあるが、バベルの塔の出来事をもって秘密の言語が失われたと考える事は、ほぼ一致している)。
意識の力を制御する象徴
ルネサンスの知識人たちは、旧約聖書を人類の発祥からの歴史を記した人類史上で最も古い文書であると捉えた(実際には近代の学術研究で、旧約聖書の元になった更に古い神話を記しているとされる文書が確認されている)。そして、旧約聖書を元々記していた、古代ヘブライ語こそが失われた天使語や源ヘブライ語に一番近い言語であると考え、神聖視するようになったのである。また、その文字であるヘブライ文字は、言語とは別にその文字自体も特別に聖なるものとされ、意識の力を制御する象徴としても扱われるようになった。もし、日本の密教で言う梵字の使い方を知っている方がいれば、それを思い浮かべてみると話が早いかもしれない。
現在、GD系統の西欧神秘伝統を研究する学徒はヘブライ文字を記憶・理解することはその学習において必須とされる。この教育コースでも、学徒にヘブライ文字について学習していってもらう事になるので、認識しておいてほしい。ただし、西欧神秘伝統においてヘブライ語文字を学習すると聞くと、ヘブライ語を語学として学習までも行なわないといけないと思ってしまう学徒もいるかもしれないが、西欧神秘伝統では、ヘブライ文字は意識の力の象徴としての扱いが主体なので、ヘブライ語を語学として学習する事までは要求していない。もちろん、余裕があれば、そういった事も学習しておくのも、補助的な学習としては面白いだろう。
ヘブライ文字の理解
ヘブライ文字は基本形は22文字あり、下がその形と名称になる。ヘブライ語はその文字の一つ一つに名称(呼び方)がある。また、ヘブライ文字は完全にでは無いが、英語の文字とも対応しており、対応する文字を等価文字としている。英語のアルファベットを学習した時の事を思い出して、記憶してみてほしい。ただし、対応する英文字が2つあったり、ケト(Ch)やツァダイ(Tz)などといった英文字が2つ組合わさって出来ているような特殊な文字もあるので注意されたし。また、ヘブライ語は、その大きな特徴として単語や文章を書き記す時は、日本語や英語とは逆に右から左に向かって記すようになっている。
学徒はこれから教育コースにおいてヘブライ文字の形、書き方、名称、英語の文字の対応(等価文字)、意味など様々な事を記憶していく事になる。とりあえず、この段階の学習では下記の22のヘブライ文字の形、書き方、名称、英語のアルファベットの対応する文字(等価文字)を記憶する事。
文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:アレフ。英語の等価文字はAになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ベト(ベスとも呼ばれる)。英語の等価文字はBになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ギメル。英語の等価文字はGになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ダレス(ダレトとも呼ばれる)。英語の等価文字はDになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ヘー。英語の等価文字はHになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ヴァウ。英語の等価文字はV、またはUになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ザイン。英語の等価文字はZになる。ヴァウとよく似ているので注意すること。ヴァウは縦線が上部の点の右下に付くのに対し、ザインは上部の点の真ん中に付く。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ケト(ケスとも呼ばれる)。英語の等価文字はChになる。ヘーとよく似ているので注意すること。ヘーは上の横線と左の縦線の上が離れるのにたいし、ケトは離れない。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:テト(テスとも呼ばれる)。英語の等価文字はTになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ヨド(ヨッドとも呼ばれる)。英語の等価文字はYまたはIになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:カフ。英語の等価文字はKになる。ベトとよく似ているので注意すること。ベトは下の横線が右の縦線から右へ少し出るが、カフは出ない。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ラメド。英語の等価文字はLになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:メム。英語の等価文字はMになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ヌン(ナンとも呼ばれる)。英語の等価文字はNになる。ギメルとよく似ているので注意すること。ギメルは下の点が少しだけ右の縦線につく形になるが、ナンは下の点の右横が全て右の縦線につく形になる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:サメク。英語の等価文字はSになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:アイン。英語の等価文字はOになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ぺー。英語の等価文字はPhまたはPになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:ツァダイ。英語の等価文字はTzになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:コフ(クォフとも呼ばれる)。英語の等価文字はQになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:レシュ。英語の等価文字はRになる。ダレスとよく似ているので注意すること。ダレスは横線を書いていったん止めて終端の少し左から縦線を書き始めるが、レシュは終端から縦線をそのまま伸ばす。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:シン。英語の等価文字はShになる。
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文字の形 | 文字の書き順(左から右へ) |
名称:タウ。英語の等価文字はThまたはTになる。
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□学徒は下記を理解・記憶すること。
・ヘブライ文字の形、名称、書き順を覚えること
・ヘブライ文字の等価文字を覚えること
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