生命の樹について2

ここでは、生命の樹を構成する各種概念について理解・記憶してもらう。

四界

先にも触れたが、カバラの理論では、この世界は四つの世界によって構成されているとされる。それが、アツィルト(元型)界、ブリアー(創造)界、イェツィラー(形成)界、アッシャー(現実)界である。これはまた、創造の四世界とも呼ばれ、「神」が自分自身をこの世に表出せしめるに通る段階を示すともされる。初心者にはよく誤解される事だが、これらは空間的に別々に世界があるといっているのではない。これらは一つの場に連続する世界であり、重なり合って存在する世界である。この4つの世界を生命の樹上に当てはめるとき、そこには2通りの見方がある。一つは、ケテルをアツィルト、コクマーとビナーをブリアー、ケセドからイェソドをイェツィラー、マルクトをアッシャーと対応させる見方であり、もう一つの見方は一つの世界に一つの生命の樹があるとする見方である。

三組

生命の樹のセフィロトの構成を図形的に見た場合、3つの三角形(三つ組)とそれにぶらさがるマルクトと分けて捉えることが出来る。最初の三組は、ケテル、コクマー、ビナーによって形成され、これはその性質から至高の三角形と呼ばれる。次の三組は、ケセドからティファレトによって形成される倫理的三角形。そして、最後はネツァクからイェソドによって形成される星幽的三角形である。

三本の柱

生命の樹は、その形を三本の柱に見立てる事ができる。コクマーから下に降りてネツァクを通る柱、ケテルからマルクトを通る柱、ビナーからホドを通る柱である。そのうち、コクマーの通る右側の柱は「慈悲の柱(Pillar of Mercy)」あるいはヤキンの柱と呼ばれ、白く塗られヤキンの頭文字のヨッドのヘブライ文字が記されている。ビナーの通る左側の柱は「峻厳の柱(Pillar of Severity)」あるいはボアズの柱と呼ばれ、黒く塗られボアズの頭文字ベトのヘブライ文字が記されている。この2つの柱は、ソロモンが建てたエルサレムの神殿にルーツを見出だすことができる。そして、ケテルの通る柱は「調和の柱(Pillar of Mildness)」あるいは中央の柱と呼ばれる。

パロケト(幕)とアビス(深淵)

生命の樹上にはセフィラとセフィラの繋がりを隔てる2つの障壁とされるものがある。一つは、ティファレトと以下のセフィラを隔てる障壁であり「パロケト(幕)」と呼ばれる。下図でThe Veilとして描かれているものがそれである。GDの教義ではそれは、外陣位階にあるものが内陣に入る時に別け入る「幕」とされる。もう一つの障壁はアビス(深淵)と呼ばれ、ビナーと以下のセフィラを隔てる。下図でThe Abyssとして崖状に描かれているものがそれである。考え方によっては、果てしない砂漠と見られる事もある。GD及びクロウリーの流派ではアビスとは、個としての人間を超える時に通る大いなる深みとされ、学徒は此を渡るとき、その個としての全存在を捧げ尽くし、別の存在に生まれ変わるとされる。

炎の剣と叡智の蛇

炎の剣とは神が世界を顕現させるときに使った、生命の樹の序列によって形成される。また、主がアダムをエデンから追放したときに人間が住まう荒れた園と、至高のエデンを分け隔てる障壁として置いたものともされる。この由来は旧約聖書の創世紀第3章24節に見ることができる。−「神は人を追い出し、エデンの園の東に、ケルビムと、回る炎のつるぎとを置いて、生命の樹の道を守らせた」−。叡智の蛇とは22の小径を繋ぐ存在である。炎の剣は上方から各セフィラを通って降り来る下降原理であり、叡智の蛇は下方から各パスを這い登っていく上昇原理である。

ダース

下記図示の紫色の球体はダースと呼ばれ、他のセフィラとは別格に扱われる。ダースはコクマーとビナーの早産の子と言われ、他のセフィラとは次元の違うものである。ダースはまた、象徴的に知識のセフィラとも呼ばれ、深淵を跨いだ状態になっている。


□学徒は下記を理解・記憶すること。

・四界とセフィラの対応を記憶すること。
・3つの三組とセフィラの対応を記憶すること。
・3つの柱とセフィラの対応を記憶すること。
・アビスとパロケトについて記憶すること
・炎の剣と叡智の蛇について記憶すること
・ダースについて記憶すること


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