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西洋神秘伝統の歴史(近代)

西洋神秘伝統の歴史(近代)

サン・ジェルマン伯爵。アントン・メスマー。カリオストロ伯爵。ナポレオン

サンジェルマン伯爵
(http://ja.wikipedia.org/wiki/サンジェルマン伯爵より)

1707年にはサンジェルマン伯爵が生まれたとされる。彼の生涯は謎に満ちており、錬金術や魔術に通じ、不死の体を持っているとも言われた。1784年に亡くなったとされるが、その後も世界各地で彼を見たという話も聞かれるそうだ。1734年フランツ・アントン・メスマーが生まれる。彼は動物磁気(オド)と呼ばれるものによって、多くの病人を癒したとされるが、その方法は現代的には催眠術のさきがけであったとされ、彼の名を取ったメスメリズムという言葉は現在、催眠術を示すものとして使われる。

1743年、カリオストロ伯爵が生まれたとされる。彼は、サンジェルマン伯爵と同様、錬金術に通じているとされ、1795年のその死後も世界各地で彼を見たという話がある。1769年、フランスにナポレオン・ボナパルトが生まれる。彼自身は神秘伝統の学徒の範疇には入らないだろうが、その行動の各所に神秘伝統を研究したものとしての特徴が見られる為、その側近には神秘伝統に通じたものがいたのでは?という話がある。また、彼のエジプトへの遠征により、ロゼッタストーンが発見される事になるが、この発見により、古代エジプト文字への研究が進む事になり、後の黄金の夜明け団を中心とした神秘伝統に大きな影響を与えた。

産業革命の時代。「八人会」から黄金の夜明け団へ

エリファス・レヴィ
(http://en.wikipedia.org/wiki/Eliphas_Leviより)

この18世紀半ばの時代の頃からの、神秘伝統界的に特筆すべき事として、ヨーロッパを起点とした産業革命が起きた事があげられるであろう。産業革命というと科学に関する事柄であり、神秘伝統とは関係の無いものと思われる方もいるかもしれない。しかし、産業革命により合理的な考え方が一般にも広まり、神秘伝統の研究に迫害を加えていた、キリスト教などの宗教的な権威が失墜することとなったのだ。また、産業革命により、中産階級以上のもの達の生活には余裕が生まれ、その余った時間を神秘伝統の分野の研究に費やすもの達も多く出てきた。これらにより、それまでは神学者や一部の知識人達が中心となって研究されていた神秘伝統の分野に、一般の市民でも神秘伝統に深い造詣を持つものが多く輩出されることになり、その研究が促進されていく。

19世紀初頭には、フランシス・バレットが、魔術書「メイガス」を出版する事となる。この書籍は神秘伝統界で大きな反響を起こしたが、その筆者の生涯については未だ謎が多い。1808年、フレデリック・ホックリーが生まれる(1885年没)。彼は水晶球を用いた霊視を用いて、様々な霊的存在と交流していたとされている。1810年、エリファス・レヴィがパリに生まれる(1875年没)。彼については、当HPの別のページで述べているので、ここでは詳述しないが、彼の「高等魔術の教理と祭儀」をはじめとする著書は、神秘伝統界に偉大なる影響を与えた。また、彼は ティアナのアポロニウスの霊を呼び出したとされる実験でも有名であろう。

1831年、マダム・ブラヴァッキーが生まれる(1891年没)。彼女の設立した神智学協会は、西洋にあって東洋の神秘伝統に傾倒するものだったが、西洋の神秘伝統にも多大な影響を与える事となった。1833年ケネス・マッケンジーが生まれる(1886年没)。彼は、後述する「黄金の夜明け団」の設立のきっかけとなる、暗号文書を書いた人物ではないかと言われている。

1866年、ロバート・リトルによってSRIA(英国薔薇十字協会)が創設される。この団体は薔薇十字の名の下、秘教やオカルトを研究しようという団体だったが、オカルトに興味を持つもの達のサロン的な集まりになったため、もっとオカルトを実践的に深く研究しようという有志が集まり、1883年、前述したフレデリック・ホックリーやケネス・マッケンジー等が中心になって「The Society of Eight(八人会)」というグループが創設される事となる。これらSRIAや八人会には、ウェストコットやメイザースも加わり、後の黄金の夜明け団の創設へと繋がることとなったのだ。

最後に(オカルトと科学について)

以上のようにルネサンスから近代にかけては、とても多くの様々な知識人達が生まれ、現代の「知」へと続く架け橋を作った。この知識人達に共通するのは、知られざる世界の「理(ことわり)」を解き明かしていこうとする、飽くなき知への探求心であったといえよう。そして、古代からルネサンス初期においては混然としていた知の探求法は、やがて第三者の実験による検証を基本とした手法から成り立つ「科学」という分野と、検証を行う事が難しいオカルトあるいは神秘伝統の分野に分化していくことになった。

しかし、ここで神秘伝統の学徒に伝えておきたいことがある。現在、一般に広まっている、神秘伝統などで扱われる不思議な事柄というものは、現代の科学では、ほぼ「否定」されてしまっていると思っている人も多いかもしれない。しかし、それは「誤解」である事を、ここで学徒にはよく認識しておいてほしいのだ。それは何故か?。上にも書いたように元々、科学とは、何らかの物事や理論について、「第三者による追検証」を経た結果によってこそ、その肯定と否定が判断されるものである。しかし、神秘伝統的な事柄についてはその性質上、それらに対する確実な検証方法を用意することは、まだ不可能なのだ。

そのため、これらの分野の多くの様々な事柄については、現在においては、まだ肯定も否定も出来ないと考える事こそが「科学的には」正しい認識と言えよう。しかし、現実には理解できない、あるいは信じたくないといった考え方で、確実な検証も経ずにそれらを頭から否定してしまう人達も少なくない。しかし、根本的に重要な考え方として、物事を存在すると証明することは容易い事であるが、完全に存在しないと証明する事は、とても難しいことである事は知っておくべきである。

これらの事からも、神秘伝統の学徒は、あくまでも確実な検証を経た結果が存在するもの以外は、その事柄については、中立な立場をとる姿勢を自分自身の基本とするように心がけておくべきであろう。そして、神秘伝統の分野に限らずとも、あらゆる分野の物事について、盲信せず、頭から否定もせず、自分自身で様々な角度から考え、検証した上でその真偽を見極めていこうとする姿勢を常に忘れないようにしてほしい。


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