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西洋神秘伝統の歴史(古代〜紀元前1)

西洋神秘伝統の歴史(古代〜紀元前1)

これから西洋神秘伝統の歴史の解説を行うのだが、まず一番最初は、西洋という範疇にとらわれず、人類全体に共通する霊的意識を操る原始からの技術、いわゆる呪術的な事柄についての発祥時期の解説を行ってみたい。

人類と呪術の発祥時代(祈り。供物。代償。感染。類感。模倣)

人類は、その発祥から自分たちを取り巻く様々なものに「神秘」を感じていた。自分たちの日々の生活が、眼に見えない不思議な力や存在、超自然的なものに影響されている事を感じていたのである。動物や植物、天地、そして人間さえもその背後にこういった存在がいて、影響されていると考えた。それらの眼に見えない力は自分達を助けてくれる事もあれば、不幸や害をもたらす事もあった。古代の人間たちは、そういった不思議な存在と共に暮らしながらも、やがてその影響を出来るだけ、自分たちにとってより都合の良いものに変えていけないかと思うようになる。

古代の人達は現代人のような言語思考というものが発達しておらず、”理由”を追求すること無く、世界を見たまま感じたまま理解する事が多かった。何かに対して、それはそうあるものだとして納得してしまうのである。また、人間という存在にとって、一番よく感じる事のできるものは”自分”である。そこから、古代の人達は自分の身の回りを取り巻く、その不思議な存在達も、自分と似たような特徴や考えを持って動いているものと思った。やがて、これらの考えを元に、不思議な存在達を制御しようとする、様々な呪術的行為が生まれてくる。

”祈り”と”供物”、”代償”の呪術

古代の人たちは、何か自分に意外な嬉しいことや喜ぶようなことが起こると、自分を取り巻く不思議な存在たちが、それらをもたらしてくれたのだと考えたりもした。その場合は、幸運をもたらしてくれた、不思議な存在達も喜ぶように、美味しい食事等の供物をお返しに捧げる事を行ったりしたのである。又、自分に不運な事があれば、不思議な存在たちが自分に対して怒っていると考え、供物や時には自分の大事な何かを捧げる事によって、機嫌を直してもらうように呼びかけた。原始的な”祈り”と”供物”、”代償”の呪術の誕生である。

”感染”の呪術

また、この世界には目に見えない何か流動的な力が満ちており、そういったものを媒介にして、幸運や不運などの様々なものや状態が、他と自分を行き来するとも感じた。何かに触ることによって、極端な場合は何かを見るだけでも、その何かから見えない力が移ってきたり、移ったりするのである。例えば、汚れたものや死体、病気の人を見たり、触ったりすると何か得体の知れないものが自分に移ってしまい、近いうちに自分も悪い事が起こったり、病気になったり、ひどい時には死んでしまう事もあると考えた。逆に、良いことがあった人や強い人、強い動物に触れると自分も良い事が起こったり、強くなれると考えたりもした。これらは”感染”の呪術の考え方と呼ばれる。

”類感”や”模倣”の呪術

(南仏のレ トロワ フレール洞窟で見つかった鹿に扮して踊るBC8000頃の呪術師の壁画)

古代の人達は、この見えない不思議な力は形や特徴などが似ているものに集まりやすいという性質があるとも感じた。その為、何かを欲する時は、その見えない力に、欲するものに似たものを捧げるという事も行った。例えば、狩猟において自分が獲物の格好をしたり、雨乞いで水を捧げるというのもその一つである。同じような考え方で、超自然的なものは、形の似たものに宿ったりするという事も考えた。そこで、様々な像を作って、それが超自然的な力を持つと考え、祈りを捧げる事もした。これらは”類感”や”模倣”の呪術の考え方である。

複合的な呪術

また、他人の髪や爪などの身体の一部、あるいは排泄物などを手に入れ、それらを人形や何らかの相手を象徴する物体にいれる。そして、それらの物に釘を刺したり火に投げるなどの害を加えると、その髪や爪の持ち主に悪い影響をもたらす事も出来るとも考えられた。これらの方法は強力な呪術と考えられたが、先に記した”感染”や”類感”などの原始的な技術が合わさって出来たものと言える。

動植物からの叡智

古代人の中には、何かのきっかけで特別な植物や動物などを食する事によって、自分の意識が変化し、現前に様々なありえないもの、動物や植物、得体の知れないものが話しかけてくるなどの不思議な体験をするもの達もいた。これらの中には、様々な知識を教えてくれる存在もいた為、より深くその体験を追求していこうとするものも出てきた。

呪術師:シャーマンの誕生

こういった原始的な体験や呪術的行為から、やがて超自然物を制御するための手段が発達していく事となる。その始まりとして現われたのが、シャーマンの呪術体系である。この技術は今から2〜3万年前には既に発生していたと見られる。それは現代でも世界の至るところに、その伝統を見る事が出来る。南米などの先住民達の間で行われている、自分自身の意識を幻覚植物や宗教的舞踏などによって通常とは違う意識レベルに持っていき、精霊や守護者と呼ばれるものとの交流を得る技術もそれであるし、日本で有名なイタコのように自分に霊を引き降ろし、相談者にそのメッセージを伝える霊媒者と呼ばれるもの達もその範囲に含まれるであろう。そして、この原始的な不可視の存在との交流の技術は、その民族の間でも特別な地位を持つ人物に、口伝などによって綿々と伝えられて行く事になる。


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